平成19年度収蔵資料展2「武家文書の世界(2)」


2007.11.20~

パンフレット

今回の展示史料は全て複製です

江戸幕府の文書


1 藩関係文書

◇ 宛行(充行)状

荘園や中世武家社会において、土地や役職を与えることを証明した文書です。近世においても、武家社会の主従関係を成立させるための重要な意味を持っていました。

藩主から藩士への宛行状(あてがいじょう)は、移封(いほう)や藩主の代替わりごとに発給されました。宛行状の書式は諸藩によって違い、花押の添えられた判物(はんもつ)の場合もあれば黒印のみの場合もあり、また文言(もんごん)や形態(折紙・竪紙)、使われた料紙も様々でした。

=宛行状の見方=
宛行状の見方 宛行状の見方 釈文

文書の内容この文書は、享保15年(1730)11月に「松平義知(明矩)」(当時は播磨姫路藩主)が家臣の「杉原但見(正房)」に家禄として「高400石」を宛行う(与える)ことを記した証書です。

宛行状の見方
①料紙(りょうし) 文書に用いる紙を「料紙」と呼びます。この宛行状には、楮(こうぞ)で作られた最上質紙の一つである奉書紙が用いられています。奉書紙の他にも、雁皮で作られた「鳥の子紙」を用いた藩などもありました。
②形態 料紙の全紙(一枚そのままの紙)を使った「竪紙(たてがみ)」となっています。その他に、松平家の宛行状には、一枚の紙を上下二つ折にしている「折紙(おりがみ)」がみられます。
③日付 証書であるため「享保15年11月19日」と年月日が記されています。
④差出 文書の差出人を記す場所のことです。この文書では「義知」(後に明矩と改名)と実名(諱(いみな))が書かれ、その下に花押が記されています。その他に、松平家では実名(諱(いみな))の下に黒印が押されたものや、黒印だけのものがあります。一般的には、花押が押されたものの方が格式が高いとされています。
⑥宛所(あてどころ) 文書の受取人を記す場所のことです。この文書では「杉原但見」が受取人となっています。名前の下にはひらがなで「とのへ」と敬称があります。
一般的に、敬称の用い方は身分等に応じて使い分けられることが多く、宛所の格式によって漢字の「殿」が使われることもありました。また、宛所の位置も、身分や格式に応じて高下がつけられていました(身分が高いほど、高い位置)。受取人の杉原氏は、寛文11年(1671)姫路において正春の代に松平氏に仕え、番外頭、参政等の職を勤めました。

2 花押の型について

◇花押

花押とは、署名の代わりに使われる記号・「しるし」のことですが、筆で書かれる以外に印鑑のような「花押の型」を用いる場合もみられます。展示史料9と11の花押を比較すると大きさ・形とも全く同じであり、これらは「型」によって作成されていることがわかります。

史料9 史料11


史料9


史料11

★ 展示資料一覧 ★

タイトル 内容
差出 形態 寸法 文書名 文書№
1 松平明矩宛行状 〔松平明矩宛行状〕(杉原但馬守宛、高400石)
松平義知(明矩) 杉原但馬守正房 51×66.5 大沢末男氏収集文書 P08422-3
2 松平直克宛行状 〔松平直克宛行状〕(高200石)
松平直克 川木■五郎 51×63 川木敏夫家文書 P8712-9
3 松平直矩宛行状 〔松平直矩宛行状〕(高200石)
松平直矩 川木瀬兵衛 37.8×52.5 川木敏夫家文書 P8712-2
4 前橋藩松平家分限帳 御體□(前橋藩松平家分限帳)


折本 14.8×24.5 和田正雄家文書 P8808-1
5 松平直恒宛行状 〔松平直恒宛行状〕(加増高50石)
松平直恒 和田一八 45.8×60 和田正雄家文書 P8808-5
6 真田信利宛行状 〔沼田藩主真田信利知行宛行朱印状〕(高100石扶助)
(真田信利) 高橋四郎兵衛 36.5×50.2 高橋巨士家文書 P9512-1
7 土岐兵部の伺書と老中の回答 〔土岐家当主伺書并老中附札文書覚〕(年頭八朔・御謡初・端午重陽歳暮の献上物につき)
土岐兵部
19.8×45.8 角田光枝家文書 P9004-398
8 土岐兵部の伺書と老中の回答 〔土岐家当主願書并老中附札文書〕(同氏山城守改名につき)
土岐兵部
20.3×32.3 角田光枝家文書 P9004-410
9 幕府への仮養子願 〔藩主願書〕(石川重之助養方叔父実弟勇吉へ養子被仰付家督被下置候様奉願候)
土岐兵部頼潤 松平伊豆守殿・牧野備前守殿・土井大炊頭殿・青山下野守殿 34.1×45.3 角田光枝家文書 P9004-390
10 幕府への仮養子伺 〔藩主願書〕(当分養子願)
土岐兵部
17.1×34.5 角田光枝家文書 P9004-391
11 幕府への仮養子願 〔藩主書状〕(諏訪因幡守二男為三郎養子被仰付家督被下置候様願上)
土岐山城守 松平伊豆守殿・牧野備前守殿・土井大炊頭殿・青山下野守殿 33.3×45.6 角田光枝家文書 P9004-372
12 進上目録 〔目録〕(御太刀・一腰、御馬・一匹、進上)
土岐隼人正頼知
51.2×63.4 角田光枝家文書 P9004-994
13 大名の寒中見舞 〔書状〕(寒中見舞い)
稲葉従五位久通 土岐従五位様 41.3×55.5 角田光枝家文書 P9004-53
14 大名の暑中見舞 〔書状〕(暑中見舞い)
松平従五位信正 土岐従五位様 36.2×48.8 角田光枝家文書 P9004-33
15 大名の年始状 稲葉従五位久通
稲葉従五位久通 土岐従五位様 39×52.1 角田光枝家文書 P9004-42
16 母からの書状 〔書状〕(おまち男子安産の祝詞、青瀬拠ん所なき事にて永の暇遣わし候)
隼人正 15.2×83 角田光枝家文書 P9004-565
17 母からの書状 〔書状〕(御布告の趣等につき報知)
隼人正との 15.2×124 角田光枝家文書 P9004-564
18 殿様の病状報告 〔書状〕(殿様病状につき)
今泉嶋之丞・月岡左太夫・有賀十兵衛 渡辺兵太夫様・寺田十之丞様・柘植宇左衛門様・加藤忠左衛門様 14.2×57.6 角田光枝家文書 P9004-740
19 殿様の病状報告 〔書状〕(殿様御容態につき)
今泉嶋之丞・月岡左太夫・有賀十兵衛 渡辺兵太夫様・寺田十之丞様・柘植宇左衛門様・加藤忠左衛門様 14.2×86.2 角田光枝家文書 P9004-741
20 旗本への老中奉書 〔老中奉書〕(時候挨拶の礼状)
内(藤)紀伊守信親 増田作右衛門 38.3×45.8 伊能光雄家文書 P8003-1760
21 旗本の家臣間のやりとり 奉伺候覚(御留守宅御門限夜廻り他)
萩原俊蔵 長谷川要人 横長 12.5×33.5 萩原信之家文書 P0201-47
22 旗本の名主任命 〔当番名主役出精相勤候様、申達〕
地頭所内内山忠太夫 東峯須川村名主作右衛門 切継 16.1×27.4 河合雄一郎家文書 P8004-250-4
23 村役人への褒美 覚(駿府表罷越出精に付、御紋付下し覚)
地頭所内内山忠太夫 東峯須川村大年寄当人作右衛門、大庄屋立会定右衛門 16.5×36.7 河合雄一郎家文書 P8004-250-3