平成21年度収蔵資料展2「明治期公文書にみる建物の記録」


2009.11.20~ 118人

開催にあたって

当館では、昨年度、『群馬県行政文書件名目録第20集-明治期会計・戸籍・通信・運輸・建築編-』を刊行いたしました。今回、目録作成の成果を生かしつつ、「明治期公文書にみる建物の記録」と題して収蔵資料展2を開催いたします。当館に収蔵されている建築関係の公文書をとおして、明治期建築物に関する資料や図面、変遷などについて紹介します。
 近年、全国的に近代文化遺産の保護の必要性が認められるようになってきており、県内にも国・県指定重要文化財、国登録有形文化財となっている建造物が数多くあります。また、当館収蔵行政文書の一部は「群馬県行政文書」として県重要文化財に指定されています。本展示が、県内の近代文化遺産を後世に伝えることの意義について再認識していただく機会となれば幸いです。

平成21年10月 群馬県立文書館長

Ⅰ 藩から県へ

明治4年(1871)7月の廃藩置県により、県内では新たに前橋県・高崎県など八県が成立し、先に成立していた岩鼻県と併せて9県が置かれました。3ヶ月後の10月28日、府県の統廃合により群馬県(第一次)が誕生しました。「群馬県民の日」は、この日を記念しています。その後同6年、群馬県と入間県が合併して熊谷県となりましたが、同9年に栃木県管轄となっていた東毛3郡を併せて現在の形の群馬県(第二次)が成立しました。

1 伊勢崎城図
2 七日市県元県庁図
3 旧七日市藩玄関(年次不詳、昭和40年代後半か)
Ⅱ 県庁舎の変遷

明治14年(1881)、太政官布告により県庁位置は前橋に決定しました。建物は慶応3年(1867)竣工の旧前橋城。この後、庁舎や倉庫が次々に増改築および新築され、傷んだ箇所の修繕もたびたび行われました。しかし老朽化は進み、大正13年(1924)県予算案に県庁舎建築積立金が計上されました。昭和3年(1928)新庁舎が落成(現昭和庁舎)。現在は、平成の新庁舎になっています。平成8年、昭和庁舎と群馬会館はともに国登録有形文化財になりました。

4 明治九年本県第三号布達 高崎へ移庁ニ付同駅通町安国寺ヲ以テ仮庁トシ九月一日ヨリ事務取扱
5 群馬県前橋旧城建物ヲ以仮庁ト仕度儀ニ付伺及許可指令(写)
6 県庁総絵図
7 旧県庁正面玄関(年次不詳)
8 旧県庁構内(年次不詳)
9 県庁舎明リ取天窓設置工事(部分)
10 建築当初の昭和庁舎・群馬会館
11 群馬県庁舎新築設計図(一階)
12 寄附依頼状
Ⅲ 学校建築

明治5年(1872)「学制」が発布され、近代教育が始まりました。県内最初の小学校は、同年開校の厩橋学校です。同8年までに499校の小学校が設立されました。設立当時の校舎は、寺院借用331校、民家借用93校、廃寺13校、旧官舎5校など、大部分が借地・借家でした。校舎新築は桃井小学校(同6年)に始まり、同8年までに46校が新築されました。

吾妻第三小学校の新築校舎は、明治18年(1885)に完成しました。以降大正7年まで学校として使用され、昭和53年(1978)までは中之条役場として使用されました。木造二階建ての建物は、数少ない明治初期の洋風小学校建築として、同年県の重要文化財に指定されました。その後は中之条町歴史民俗資料館として活用されています。

13 田口小学校平面図
14 桃井小学校平面図
15 公立桃井学校沿革誌
16 小暮時代の前橋中学校(明治14年)
17 群馬県尋常中学校建物之図
18 群馬県師範学校創立以来ノ沿革
19 群馬県尋常師範学校建物之図
20 群馬県衛生所並医学校設立ノ略
Ⅳ 郡役所建築

郡という区画は、江戸時代においては単なる地理的名称でしたが、明治11年(1878)「郡区町村編成法」によって行政区画となり、郡役所が設置され郡長・郡書記などの吏員が配置されました。明治23年には「郡制」が公布され、郡は地方自治体として位置づけられました。しかしこの郡制は制定にかかわる審議の時から反対も多く、改正を経た後に大正12年(1923)廃止され、郡役所も同15年廃止となりました。現存する郡庁舎は、旧碓氷郡役所のみです。碓氷郡農会、碓氷地方事務所、安中農政事務所が使用した後、平成10年より公開となっています。

山田郡役所は、『群馬県県有財産原簿 第二編』(議会2826)によると「明治卅一年九月県費(山田郡内各町村有志者寄附金)ヲ以テ建築、三十三年三月竣工」とあります。おおむねL字形の平面プランで、南側の入口を入って右に34坪の事務室がありここで郡長以下十数人の郡吏が執務しました。

21 山田郡役所之図
22 山田郡役所建物図
23 桐生市全図
24 郡役所新築工事施行ニ付上毛(上州、朝日、下野)ノ各社へ入札公告方及郡長宛照会之義伺
25 正面建図(勢多郡庁舎及郡会議事堂並附属家新築設計図)(年次不詳)
26 郡制廃止ニ関スル内務、大蔵、文部大臣ノ諮問及答申
27 県会会議録
28 文庫正面全景
29 棚の使用状況
30 ローヤル輪転謄写機広告
Ⅴ 事務所建築

明治44年(1911)農商務省より、原蚕種製造所前橋支所建築工事請負契約の一切が群馬県へ委任されました。途中、設計変更や竣工期日延期などもありましたが、翌45年に竣工しました。

国立原蚕種製造所は、繭質の統一を目的として開設された施設です。本所(東京府)のほか、前橋支所(岩神町)、綾部支所(京都府)、福島支所(福島県)などが設置されました。前橋支所はその後蚕業試験場、同養蚕部などと改称されましたが、昭和55年(1980)に農林水産省蚕糸試験場に統合されました。同56年現在地(敷島町)に移築、前橋市蚕糸記念館として活用され県の重要文化財に指定されています。

31 (国立原蚕種製造所前橋支所)工事請負契約執行委任ノ件
32 (国立原蚕種製造所前橋支所)建築工事設計変更ノ件
33 (国立原蚕種製造所前橋支所)竣工期日延期ノ件